みちばたの記録

ニュージーランド児童文学を愛する翻訳者のブログです

ハンナの作るお話

『帰ろう、シャドラック!』の主人公ハンナは、毎晩ねる前に、即興でお話を作っては、弟たちにきかせています。お話のヒントは、暮らしている場所や、毎日の生活の中にあります。ハンナは、おだやかな入り江の海と、緑の丘や森にかこまれた土地での暮らしを、心から気に入っているのです。

 みなさんは、『赤毛のアン』を読んだことがありますか? こちらはカナダの作品ですが、アンは、自分の住む土地のすばらしさに感動し、お気に入りの場所にすてきな名前をつけては、想像にふけっていました。

 そんなアンに、ハンナも似ています。でも、ハンナの想像は、ちょっとワイルドです。

 ハンナは、森の中で見つけた、羊のガイコツに入れこんでしまい、ハンニバル・メガサウルスと名づけました。毎晩のお話も、ハンニバル・メガサウルスのシリーズがつづきます。友だちのエリアナに、「気持ち悪い!」といわれて傷つきますが、それでもハンナは、ハンニバル・メガサウルスを神様のように思っています。シャドラックを助けだす計画がうまくいかなくても、ハンニバル・メガサウルスを心のささえにして、気持ちをふるいたたせていたのでしょう。

☆作者のジョイ・カウリーさんも、子どもの頃からお話を作るのが好きで、毎晩ベッドの中でお話を語り、妹さんたちといっしょにも盛りあがっていたそうですよ。