みちばたの記録

ニュージーランド児童文学を愛する翻訳者のブログです

年老いた馬の行く先 その1

「帰ろう、シャドラック!』を訳していて、ずっと疑問に思っていたことがありました。年をとった馬の行く先のことです。

 ジョーとソフィー(ハンナの両親)は、善良で、正直で、子どもたちのことも愛しています。友だちみたいなステキなお父さんとお母さんです。それなのに、シャドラックを処分しようなんてひどいことを決めたのは、どうしてなのでしょうか。

 日本でも、競馬のレースで脚を骨折したサラブレッドが、安楽死させられてしまうことがありますよね。それはなぜなのか、馬が好きな人たちに聞いてみました。馬というのは、大きな体を、4本の細い脚で支えています。その脚が1本でも折れてしまったら、もう立つことはできません。動けなくなると、病気にもなってしまうそうです。そうなると、生きていても苦しむだけなので、安楽死させた方が、馬にとっても幸せだと考えられているそうです。悲しいけれど、それが現実なのですね。

画像

  (この写真は、都内の公園で飼育されている元気なポニーです。)

 ハンナも、シャドラックは骨折したら撃ち殺されてしまうことはわかっていました(第1章の最後の部分)。でも、シャドラックは骨折ではありませんでした。立ち上がってなんとか歩くこともできます。それなのに、ジョーとソフィーは、なぜ、シャドラックを処分することにしたのだろう。しかも、なぜドッグフード工場に送るなんていう残酷なことをしたのだろう。私の中で、その疑問はまだ残っていました。

 その疑問は、竹田津実さんの講演を聞いて、初めて解けました。