みちばたの記録

ニュージーランド児童文学を愛する翻訳者のブログです

『シャドラック』とマールボロ紀行

キツネノテブクロ

『帰ろう、シャドラック!』に出てくるハンナの大好きな花「キツネノテブクロ」は、英語でもfoxgloveと、直訳です(別名は「ジギタリス」) 。 転校生のエリアナは、「キツネノテブクロには毒がある」といいますが、それはほんとうらしく、アガサ・クリスティ…

古い写真

初めてニュージーランドを訪れたときの写真を引っぱりだしました。 一面のクローバー畑。年をとった馬が余生を過ごす「いこいの家」の牧草地は、こんなステキな場所なんだって、ハンナは想像していたのではないでしょうか? 白いクローバーは日本でもおなじ…

Cats

ジョイさんのお宅では、ネコを10匹ぐらい飼っていました。私は、そんなにたくさんのネコと一緒に過ごしたのは初めてでした。それぞれ性格がちがって、おもしろいのです。 人なつっこくて、すぐに近よってきては、私の足に体をすりよせるネコ。 えさを食べる…

年老いた馬の行く先 その2

竹田津実さんは、映画『子ぎつねヘレン』の原作を書いた獣医さんです。原作は、『子ぎつねヘレンがのこしたもの』というタイトルのノンフィクションです。私はこの本を読んで号泣しました。(馬とは関係ない本です。たまたま読んだのです。) その竹田津実さ…

年老いた馬の行く先 その1

「帰ろう、シャドラック!』を訳していて、ずっと疑問に思っていたことがありました。年をとった馬の行く先のことです。 ジョーとソフィー(ハンナの両親)は、善良で、正直で、子どもたちのことも愛しています。友だちみたいなステキなお父さんとお母さんで…

ハンナの作るお話

『帰ろう、シャドラック!』の主人公ハンナは、毎晩ねる前に、即興でお話を作っては、弟たちにきかせています。お話のヒントは、暮らしている場所や、毎日の生活の中にあります。ハンナは、おだやかな入り江の海と、緑の丘や森にかこまれた土地での暮らしを…

さあ、出版へ

ジョイさんのお宅に数日間泊めていただき、帰りは、ハブロックを通って、ブレナムという町の空港まで送ってもらいました。来る時はフェリーでしたが、今度は小型飛行機でウェリントンに向かうのです。 空港に着いたのは、出発予定時刻の15分前。それでも余裕…

ケネプルサウンド

マールボロサウンドは、ニュージーランド南島北東部に広がる入り江地帯です。マールボロサウンドの中に、小規模の入り江がたくさんあり、その中にさらに小さな入り江や湾がたくさんあります。 ハンナの家は、小さな湾に面していますが、その湾は、ケネプルサ…

ミスター&ミセスG その2

トヨタの水色の小型トラックに乗せてもらうことになり、ミセスGが運転で、ミスターGは荷台に乗り、私は、「助手席にどうぞ」といわれたのですが、「私も荷台に乗りたい」といって、荷台に乗せていただきました。日本ではなかなかできない体験です。ほんの5…

ミスター&ミセスG その1

『帰ろう、シャドラック!』に出てくる、ゲリッセン先生夫妻は、実在の人物でした。私が訪問した時は、もう先生業は引退していましたが、ミセス・ゲリッセンは、スクールバスの運転手は続けていました。そして、本当に馬が好き! 私は、G(Gerritsen)夫妻の…

トラック

物語の中で、ハンナたちは、トラックの荷台にこっそり飛び乗って、ネルソンに向かいます。 マールボロサウンドの人里はなれた地域には、定期的に、トラックで物資が運ばれてくるそうです。 私も滞在中にそのトラックを見ることができました。後ろ半分しか見…

自由な羊たち

ジョイさんの家の敷地には、羊の牧場もありました。 『帰ろう、シャドラック!』では、ハンナの家の敷地にも、広大な羊の牧場があります。 ハンナの両親、ソフィーとジョーは、ムール貝養殖業と、羊の牧場経営で暮らしを立てています。 ニュージーランドでは…

家の前の浜

翌朝は、小鳥の声で目がさめました。雨も上がっていました。 ちょっとハイテンションでキッチンに行き、窓から見える景色を見て、 まぬけなことをいってしまいました。 「わあ、きれい! これは、湖?」 いったとたんに気がつきました。湖じゃないよ! ここ…

砂利道じゃなかった

当時、ジョイ・カウリーさんは、ご主人と二人で、マールボロサウンドに住んでいました。ハンナたちの家のモデルになった場所です。 私は、成田からオークランドへ飛び、国内線で首都ウェリントンへ、そこからフェリーに乗って、南島のピクトンに着きました。…

エアメール

ジョイ・カウリーさんに、エアメールで手紙を出しました。何を書いたかというと、 "Bow Down Shadrach"を読んで、とても気に入ったこと。 翻訳を勉強中だから、これを訳してみたいと思っていること。 ニュージーランドに長期滞在した経験があること。 でも、…

"Bow Down Shadrach"との出会い

『帰ろう、シャドラック!』の原書"Bow Down Shadrach"との出会いは、2000年11月に、ニュージーランドを旅行した時のことです。 翻訳の勉強を始めて3年ほど経っていたので、この機会に、ニュージーランド人作家の児童文学を何冊か買ってこようと決めていまし…